○意識 [11]

  意識は直感と関係している。直感は無心の時、意識からやってくる。人間は直感に気づく。直感は全体と調和する。反対に自我による思考はそれを邪魔する。植物や動物に思考力はないが意識はある。つまり意識として在り、直感がいつも流れ込んでいる。よって直感に従うこれらの生き物はその動きも調和し、複雑な生態系も自然にバランスをとって全体と調和する。


 意識は表情もなく返事もしない。ただ直感という形のないものや出来事で人間を動かす。人間はそれらを脳で解釈し、体を使って表現する。


「体が自然に動いたため、このような素晴らしい結果が出せた」と言う芸術家やアスリートがいる。それは意識がその人を使うため。そのアイデアは直感としてやってくる。



 スポーツで言われるゾーンやフローという状態は意識として強く在る状態で、無心の時。よって邪念も恐れもなく、直感に身を任せた質の高いプレーが起こる。


 幼少期にスポーツを習い始めたという子供でも、後に都道府県以上の代表に選ばれる才能の選手は、始めから動きや判断力がある程度洗練されていることがある。そして13歳くらいになると、大人と同じ動きをする。つまり直感とは洗練されているものであり、あとはそれを表現する身体技術が反復されて高まるほど、表現の質が高まる。直感は意識からやってくる。つまり洗練というのは意識そのものの現れ。そう考えると、例えば魚が群れをなす動きや、鳥の群れがV字になって飛ぶ動きも、エネルギーの節約という実用的な面と、美しいという両面がある。質が高く洗練された動きを、思考しない動物は直感的に行なっている。それを人間の思考から見ると調和や美しさだが、思考のない動植物からすると、ただ行っている。


 調和や質の高い動きは起こるもの。それは直感に従う時。我欲からの思考では作り出せない。


 相性の良い人と旅行に行くと、口で話さなくてもあそこに行きたい、このタイミングで、などが直感的に合うことがある。またバスケットボールやサッカーなど集団スポーツの試合を見ていると、素晴らしいゴールの前には、質の高いパスワークを見られることがある。それは複数人が連携して行われる。質の高いプレーは直感に従う時に現れる。そう考えると直感というのは瞬時に複数人にやってきて、集団行動を調和させる。これは個人個人が別の意識を持っているのではなく、意識そのものが一つで、つながっていることを示す現れの一つと言える。


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