○意識 [12]

  絵を描くことが得意だと、次に描く線が見えるということがある。サッカーをする人の中には、パスコースやドリブルのコースが白い線で見えるという人もいる。白い線が見えなくても、シュートコースなどが見えるということもある。企画を仕事にする人の中には、モヤモヤとした雲のようなアイデアのかたまりがぼんやり見え、それを時間をかけて眺めているとアイデアとしてまとまってくる、という人もいる。こういう時は邪念がなく、無心の時に現れる現象。言い換えると心の目、心眼で見ている状態で、意識として在る状態。得意なことをしている時に見える現象で、直感の現れ。この見える線に従うと高いパフォーマンスが発揮される。



 何かに興味を持っていたりすると、道を歩いていてもそれに関連する文字や広告などが浮かび上がって見えたり、そこだけ明るく見えたりすることがある。それは次につながるきっかけ。その時も心眼で見ている。


 スポーツをしていると自分や他人の質の高い美しいプレーを見て、スローモーションのように時間が遅く流れる瞬間を経験することがある。そのプレーを見ている瞬間、無心になっている。無心で起こったプレーを無心で見ている。人間は質の高いものを見た瞬間、思考が止まることがある。


 また衝撃的な出来事や事故を見た時や体験した時も、スローモーションで見えることがある。その一瞬思考が止まり、瞬間的に高い集中力でそれを観察している。これも無心になっている。


 身体的能力が向上したり高い状態を維持できると、直感がやってきた時のパフォーマンスも高くなる。同じ人物が疲れてきて動きのスピードや質が低下してくると、今まで見えていた閃(ひらめ)きも浮かばなくなってくる。つまり直感はその人の状態や環境によって、閃いたり閃かなかったりする。

 人によって直感が閃くスピードは異なる。スポーツなど素早い判断が必要な競技では、速く閃く方がその場の勝負を制する。遅い側に直感が閃くことは少なく、それ故に負ける。

 速く閃く人の方が、大概は能力的に勝っている。


 静かな音楽を聴く、散歩する、味づけの薄い料理を食べるなど、刺激の少ない行為は意識として在る状態を維持しやすい。反対に刺激的なことは過剰な感覚に心が奪われる。騒がしさや大きな音、情報量の多いもの、暑い寒い、辛い甘いなど。


 子供がいて騒がしいというような生活にも、無心になれる瞬間は数多くある。


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