○教育の参考例 [1]

  ここまで述べてきた無心、直感、技術の考え方をもとにプラウトヴィレッジは運営されていくが、その上で参考になる学校がある。アメリカのマサチューセッツ州のフラミンガムにあるサドベリー・バレー校で、4歳から19歳までの子どもたちを受け入れている学校。


 この学校の特徴的な例は次のようなもの。


・この学校では、自分で学びたいことだけを自分で学んでいけるようにしている。

・学校はただ子供たちの意欲に応えるだけ。個々の子どもの活動の全責任はその子どもとともにある。自分の行為の結末は自分が引き受けるべきで、それが自己責任という感覚を養う。

・この学校の開設者たちが、子供たちが怯える対象とならないように気をつけている。

・必修科目の学習を、あらゆる水準において設定していない。

・この学校のクラスとは、学ぶ側と教える側の取り決めを指す言葉。数学、フランス語、物理学、スペリング、陶芸でもなんでもよく、子どもたちのうちの1人、あるいは何人かが何かを学びたいと思ったとき、クラスの結成が始まる。最初は自力でどう学んでいくか、自分達で方法を考える。それだけで済めばクラスは誕生せず、ただ学びがあるのみ。問題は子どもたちが自分達の力だけでは無理と判断したときで、その時、子どもたちは自分達が学びたいことを教えてくれる人を探す。手助けしてくれる人が見つかったらその人と協定を結び、クラスがスタートする。

・協定づくりにあたって、いつ生徒たちと会うか教師は約束する。固定した時間帯、柔軟性のある約束など自由に。途中、教師がこれ以上教えることはもう無理と判断したら身を引くこともできる。

・ある青年が物理学を学ぶため学校の大人と協定を結んだ。しかし教科書を読みだして5ヵ月後に1回質問に来ただけで、あとは自力で勉強してしまった。青年はやがて数学者となった。

・算数を学ぶ子供の例。子供たちに算数を学ぶ意欲が湧き、学校内で教えてくれる先生を見つけ、週2回、1回につき30分学ぶことになった。その算数の全教程を終えるのに24週(6か月)かかった。ふつうの学校なら6年かけて学ぶ内容を、半年で学んだ。

・サドベリー・バレー校には毎日何時間もひたすら書き続けるライターや、ひたすら描き続ける絵描き、ろくろを回しつづける陶芸家、料理に熱中するシェフ、スポーツ一筋の運動選手、毎日4時間のトランペット演奏を欠かさない子供などもいる。




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