○お金の社会 [2]

  薄味の食事に慣れると、貨幣社会の食べ物がいかに濃い味付けかがわかる。刺激は人を中毒にさせる。中毒にさせると儲けられる。病人も増える。中毒になるのも自我。


 お金の社会はお金の奪い合いの社会。だから勝つ者と負ける者が生まれる。こうして路上生活者や低所得者は、何百年と世界中で存在し続けている。お金の社会とは、みんなが普通以上の生活ができる仕組みではなく、不公平になる仕組み。それはお金を稼ぐことが上手い人が勝つゲームで、一部の大富豪がお金を独占し、大多数の人々が低所得者になる仕組み。



 お金の社会の過集中は効率的に利益を生み出しやすいが弱さもあり、災害などをきっかけに問題になる。都市への人口集中、一ヶ所での大量生産、収入源が一つの会社から、デジタル機器頼みなど。利益を追い求めない脱貨幣社会を築いた時、人口分布も農業も製造も分散型の社会が築かれる。


 どんな小さな会社でもお金の社会で事業を始めると、まず生き残ることが第一優先になる。すると自然環境などへの配慮が二番目以降になる。


 いつも伸び伸びして陽気だった20歳前後の若者が、ある時期から暗くなる。それは就職した日から。


 気の合わない人と毎日何時間も顔を合わせることになる。だからストレスになる。それが職場。


 仕事を早く終わらせてぼーっとしていると、サボっているように見られる。だから仕事をしているふりが多くなる。それが職場。


 集中し始めた途端に話しかけられる場所。それが職場。


 1人だけ定時に帰ると非難される不安があるため、1〜2時間くらいのサービス残業をさせてられてしまう場所、それが職場。


 男は収入が低いことを恥に感じる傾向にある。「私」である自我は、収入の低さを能力の低さと感じ、負けと感じる。


 お金の社会では初対面の人に自己紹介する時、自分の仕事や役職を伝えることがある。それほど仕事は自分を表すものとなっている。だから無職だと、どこか問題のある人と見られがち。しかし世界中のほとんどの人は、できれば働きたくないと思っている。


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