○発電と蓄電 [2]

  次に電力の発電と蓄電について、まず家庭で使用される電力は土中の微生物から発電して炭蓄電池に貯める。


 微生物発電は2つの電極を地中に刺すことで、微弱な電力が得られるもの。ただその電力は非常に小さく、1つからは1.5ボルト前後の電圧となっているため、数を多くし直列に繋ぐ必要がある。これを100個つなげて、家庭用電源の100ボルトを超える発電が達成された実験もある。この時は幅15cm、奥行き15cm、高さ30cmの箱に土を入れて、電極を刺して行われた。これが100個つながれて140ボルトほどになる。100個の場合、全体の大きさは幅と奥行き150cmずつ、高さ30cmの大きさになるので、住居に複数個設置できるサイズとなっている。
 電極の組み合わせの例では、マグネシウム(負極)と備長炭(正極)、亜鉛板(負極)と銅板(正極)などがあり、他にも集電体としてチタン、ステンレス鋼(こう)、ニッケル、鉄などが使用されることもある。また土だけでなく水や畑の泥からや、アルミニウムと備長炭を食塩水に浸すなど、様々なものから微弱な電気がとれることもわかっている。ただレアメタルなど、限りある埋蔵資源の使用は控えることになるので、マグネシウムと備長炭の選択肢が第一候補となる。

 蓄電池も身近な素材で作れるものとして炭蓄電池がある。これの良い面は急速充電が可能で、半永久的に使え、水に濡れても問題なく、氷点下や火に燃えても使用でき、よって屋外に常設もできる。ただこの蓄電容量はとても小さく、そのためその数を増やすことになる。
 炭蓄電池はすでに実用化されており、一つの例では炭蓄電池1つの重さは12㎏で、25Whを充電可能。大きさは幅33cm、奥行き22cm、高さ45cmほど。家電の消費電力の目安として、LED電球7Wを3時間使用すると21Wh必要となる。ノートパソコン20~30Wの場合、1時間の使用で20〜30Whとなる。

 環境省の令和2年度の調査では、日本の1世帯が1年間に消費したエネルギーは、全国平均で4258kWh。これは1日約12kWhとなり、一人暮らしから大家族まで含まれた数字となっている。別の調査では一人暮らしで約7.3kWh、4人家族では14.6kWhというのもある。


 プラウトヴィレッジの住居一つの敷地が約12m四方なので、この炭蓄電池の大きさだと、合計1944個配置できる。1つ25Whの蓄電容量なので、合計48kWh分の炭蓄電池を埋設できる。この場合重さが24トンほどになり、ここまでの量は必要ではないが、この3分の1の炭蓄電池でも4人家族が1日使用できることになる。つまり身近に手に入る炭の蓄電池で、それが可能となっている。この炭も木ではなく竹を使用すれば、成長速度が早い分、何度もたくさん採取することができる。竹を燃やす過程で始めは二酸化炭素を排出しても、その後、半永久的に使える。


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