○教育の参考例 [2]

 ・サドベリー・バレー校では、本を読めない子どもたちに対する本読みの強制はいっさいない。大人がおだてたりご褒美で釣ることも全くない。しかし読書障害はゼロ。文盲のまま、あるいは満足に読み書きできない状態で卒業していった子は1人もいない。この学校では8歳、10歳、稀に12歳になってもまだ読み書きできない子もいる。しかしいつの間にか読み書きできるようになり、覚えるのが早かった子に追いついてしまう。

・この学校では年齢別に分けず、子どもたちの自由にさせている。年下が年上に教えることも多々ある。学びの進み具合がバラバラなとき、子ども同士は助け合う。助け合わないとグループ全体として遅れてしまうからで、お互い競争したりいい点の取り合いをしていないので助け合いの精神が育つ。

・年齢ミックスは学習の面でもプラスがあり、説明の仕方は大人より子どもの方がシンプルで良い。また教えることによって自分のかけがえのなさ、達成感を味わうことができる。また教えることを通し、問題を整理して核心に一気に迫れるようになる。

・キャンパスにある大きな23mのブナの木のてっぺんに12歳の男子が登ったが、それも注意せず子供の自由にさせた。他にも岩場や小川など見方によっては、どんなものでも危険な存在になり得る。本当の危険は、彼・彼女らの周りに規制の網を巡らすことによって生まれる。規制を突破することが逆に挑戦となってしまう。規制を破ることが至上命題になってしまうと、こんどは肝心の安全の確保の方がおろそかになる。そこで、この学校では成り行きに任せることにし、少々の危険は覚悟することにした。子どもたちは生まれつき自己防衛本能を持っており、自己を破壊するような真似はしない。

・サドベリー・バレー校で起きた事故のうち最も大きなものは、8歳の子が滑って転んで肩を打撲した転倒事故。

・危険に関して、池の畔(ほとり)だけには規制を設けている。池や沼は公共の危険で、水面を見ただけでは深さがどれくらいか分からない。溺れてしまったら最後。したがって全校集会の全員一致で立ち入りは全面禁止となった。ただ池にはフェンスは設けていない。

・サドベリー・バレー校の大人は子どもたちを誘導せず、グループ分けもせず、ほかの学校でやっているようないろんな手助けも一切しない。全て自分自身でするように言っている。これは大人が身を引いて自然に任せればいい、あとは何もしなくていいという放任論ではない。学校のスタッフ、親、その他のメンバーは、子どもたちの能力の自然な開花を妨害しないよう大いに心がけなければならない、ということ。子どもたちの発達の流れを違った方向に誘導したり、その前に障害物を構築したりしないよう全面的な自制が必要。



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