○自我 [7]

 自我は自分自身に気になる部分があると、接した相手にも同じ場所を見る。自分と比較し、その優劣で自分を安心させたり、不安になったり、優越感にもひたる。体、持ち物、能力などで。自我は不完全な「私」に不安を感じる。無心には不完全な「私」というものがないので不安がない。


相手の劣等感や妬みなどの自我を指摘すると、相手が気づいて改善されることもあるが、逆恨みされることもある。それは関係性と状況による。



自我が強いと恨みや怒りが多い。特に自分が損させられたときは。


強烈な怒りや恐れに直面したら、腹部などに反応が出ることがある。ストレスで胃が痛いというような。そうなると無心になってもすぐにはおさまる気配がなく、集中力と忍耐が必要。怒っている自我を直視することが、怒りから離れるうえで効果的。怒りが長期に続くと病気につながる。


自我は他人の噂話や陰口を言う。大体その時は、自分に都合の良いように話を少し変え、相手を少しおとしめる言い方をする。そして聞く側は、その一次情報だけを聞いて話の全体像だと思ってしまうことがある。両者の言い分を聞かなければ公平ではない。ただ噂の本人が自我への囚われの薄い人の場合、言い訳も批判もせず事実だけを説明し、陰口を広めた相手と同じ土俵にのらない傾向にある。穏やかで清らかな人にとって、陰湿で下品な行為は選択肢にない。


あちこちで誰かの悪評を広める人は自我に振り回されている。よって自分を良く見せたり、誰かが落ちぶれることを期待している。よって真実を歪めて話す。自我の薄い人はそもそも人の陰口を言わず、悪評を広めることもしない。


誰かの陰口を言うと、それを聞いている人の中には「私のこともどこかで悪く言ってるんじゃないか」と思う人がいる。すると陰口好きに本音を言わなくなり、性格の良い人は距離をとり始める。


誰かに非難された時、言い返したり言い訳したくなる。そんな時も忍耐強く黙っていると、自我に振り回されない訓練になる。


自我は自分の非が誰かに明るみにされそうな時、怒り出しやすい。負けを認めない自我の抵抗。


小言の多い人が円満な関係を築けることは少ない。家庭でも職場でも。


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