○シナプス

  直感を活かすためには多くの場合、身体的な技術が必要になる。人間の脳や体には多くの神経細胞が詰まっており、そこを微弱な電気信号が流れることで、脳からの指示が筋肉に伝わる。神経と神経をつなぐ組織にシナプスというものがあるが、このシナプスは良く使う部分は太く、あまり使わない部分は細くなり、やがて切断する。神経をつなぐシナプスを太くしていくと、脳からの電気信号の流れがスムーズになり、勉強においては答えが早く出せるようになり、運動では動きが滑らかで早くなる。



 このシナプスを太くする方法は反復練習にある。反復練習というのは、1度覚えたことを何度も繰り返し行う。興味のないことの反復練習は苦しいものとなるが、好きなこと興味のあることであれば練習も比較的楽しいものとなる。


 そして中長期的に反復を繰り返し、脳→神経とシナプス→筋肉の経路ができれば、1週間や1ヶ月練習しなくても覚えた技術は忘れない。これを長期記憶と呼ぶ。シナプスの数が多ければ、脳からの電気信号を正確に早く筋肉に送ることができる。複雑で高度な技を披露する上級者は、長年の反復練習によって長期記憶にまで達し、シナプスが太く多くなっている。上達には反復練習以外になく、長期的に取り組めることは好きなこと興味のあることで、近道はない。

 

 こういったことが理解できると、現実の生活には無駄が多いことが見えてくる。例えば語学学校の年間授業料は20万円から100万円と多様に存在するが、20万円より100万円出すほうが自分に対して良い教育をしてくれ、上達も早そうに思える。そういった面は確かにあるが、しかし外国語を話せるようになるには自分で話す以外上手くなる道はなく、100万円払い良い先生がいて安心感はあるが、20万円の5倍早く喋られるようになるわけではない。とにかく会話をしてシナプスを太く多くし、頭で単語を変換せずとも自然と言葉がでてくるまで反復を繰り返すだけとなる。つまり本人の学びたいという意欲と反復だけとなる。たまに取り組むというペースではなく、好奇心がある間に毎日集中して取り組んで長期記憶まで達することが重要であり、成長量は反復回数に比例する。あとはその個人の生まれもった才能、性格、身体能力、環境によって、伸びる部分や上達期間に差がでてくる。


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